共同学習(経験型学習の成果)

系統的な実践力の育成とは

看護基礎教育における技術教育の現状と課題として次の3点が考えられる。

  1. 看護技術教育の位置づけが自由裁量に基づいて行われているため、教育機関の目標が看護技術習得重視か、思考過程重視かによって教育内容や到達度は異なる
  2. 在院日数の短縮化、無免許・資格であることでの法的保証の限界、患者の安全性の保証、医療の高度化・複雑化から「技術体験の場がない」
  3. 臨床と学校の連携がとりにくい

以上のことから看護実践力(ここでは特に技術*1について述べる)を身につけるために臨床との調整、患者との調整、何よりもそこに向うまでの教育内容が重要となる。

*1 技術とはただ安全に実践ができるだけではなく人間関係などの調整能力も含まれる

当校の技術教育の考え方

看護技術は、人間に対する専門的な知識に基づいて判断され、対象者と看護者の間の相互関係で成り立ち、対象の安全・安楽・自立を目的とした意図した直接的な行為で、看護者自身の看護観が反映される。

そして、看護者としての経験によって看護観が変化していくとともに、看護技術もその状況を全体的な観点からとらえ、適切な行動に結びつけ問題を解決していくことができるようになる。

これは、初学者から看護の専門家へと成長していく過程で、深化させていく。

看護技術の修得には、臨地での経験が少ない看護の初学者が、臨地で起こる様々な場面でどのように行動すればよいのか判断することには限界がある。

看護の初学者の段階では、ほとんどが学習し準備された範囲の行動にとどまる。

看護技術は、学習の機会がある毎に繰り返し、経験することによって修得されるが、現在では、無資格者である学生が身体侵襲を伴う看護技術について、臨地実習で経験する機会が少ない。

学生時代に経験していない看護技術は、就職してからも難しいことが考えられるので、臨地実習での経験が重要になってくる。

看護技術は、対象と看護者との関係の成立を目的とした「人間関係技術」、対象の生活を支える「日常生活援助技術」、健康回復や苦痛の緩和などに関連して行われる検査・処置・治療に関する「診療の補助技術」がある。

看護基礎教育が終了した時点で、看護実践能力が備わっているわけではなく、その後の学習が不可欠である。

看護専門職業人として、社会のニーズに応えられるように学習を継続していくことが必要である。そのために、看護基礎教育では学習者個々人が、看護専門職としての自己規範を内在化させていくことができるように、学習支援することが教員に求められる。

 

これらにあわせ「看護技術のあり方検討会」「看護技術を支える要素」(ともに厚生労働省資料)を含め以下の内容が当校において基礎看護技術修得のために必要な内容と考える。

  1. 当校における到達度の明確化

    1)基礎看護技術に関して卒業までに「できる」ようにしておく項目の抽出

    2)技術の細分化を行い、学校で確認する項目、臨地で実施し確認できる項目の抽出

    3)技術については「看護技術あり方検討会」を参考に看護師が行ってもよいとされている技術の範疇を多角的に考え、学生時代により経験の機会をもつ内容とする

  2. 対象者と看護者の間の相互作用で技術が成り立つこと

    1)臨地での経験を行う前に模擬患者演習を設け対象者の反応や対象者に合わせた援助を経験させる

    2)病院での受け持ち患者の選定を考慮する

  3. 技術が人間に対する専門的な知識に基づいて判断されること

    1)人体形態機能学から対象をとらえる思考の育成

    2)患者の身体内部の状態を専門的知識(フィジカルアセスメント)を用いて判断する

    3)授業依頼で新カリキュラムのねらい、基礎看護技術の到達を意識して依頼をかける

  4. 技術が対象の安全・安楽・自立を目的としたものであること

    1)患者(または家族)の意思を尊重し、患者(または家族)の了承を事前に確認する

    2)患者に提供する技術を保証できるレベルまで習得させる

    3)臨床での指導の確保

  5. 学生が技術を実施するために起こり得るリスク回避

    1)教員と指導者の役割を明確にし、協力体制を確立する

    2)臨床指導者会議の充実、ミニコミュニケーション、実習責任者の地位確保

  6. 看護専門職としての自己規範を内在化させていくことができるような学習支援

    1)学習ができる環境を整える(実習室、図書室、e-Learning)

    2)学習時間の確保

技術教育の方法の例

技術教育の方法の例

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